イネムリブカ

底の方に沈んでる。

つわりの記録①

産休に入り時間もできたので、備忘録としてつわりとの闘いの記録を残しておこうと思い立った。

トラウマを掘り起こすような気持ちだけれど、貴重な経験でもあるので。今後なにかの役に立つかもしれないし。立たないかもしれない。

性質上、汚い話も出てくるので閲覧注意。

 

まず前提の話。妊娠前に私が何より最も不安視していたことがある。それは金銭面とか出産に伴う痛みではなく、つわりだ。妊娠前どころか、結婚前…つわりという症状の存在を知った時から恐れていたかもしれない。

 

何を隠そう、私は嘔吐恐怖症なのである…。

 

いつも胃薬をお守りのように持ち歩き、自分はもちろん他人が吐きそうな状況も耐えられないので、お酒の席は極力避けて生きてきた。パニック障害持ちでもあるので、吐き気からパニック発作を併発してしまうこともあった。

とは言えやっぱり我が子は欲しいし、夫も希望している。ネットで調べてみると、つわりの症状が無い、あるいはごく軽いという人も中には存在すると知る。私もそのような体質であるというワンチャンに賭ける気持ちで妊活を決意。案ずるより産むが易しって言うし。ええい、ままよ!

 

妊活…と言うほど大したこともしていなかったけれど、幸運にもすぐに妊娠が発覚。

6wくらいまでは熱っぽさと眠気くらいの自覚症状しかなくて、もしかしたら私はつわりが軽い方なのかも?!という淡い期待を抱いていた。しかし7wに入り、自分の考えの甘さを思い知ることになる…。

 

7wに入ったばかりのある日、昼食に明太子パスタを食べてから吐き気に襲われる。

嘔吐恐怖症ゆえ、吐くことができずひたすらトイレに籠る。2時間くらいトイレでしゃがみこんでいたと思う。これが私の“つわりのはじまり”だった。

まだ四六時中吐き気があるという状態ではなかったけれど、いつ吐き気に襲われるか分からないという恐怖でパニック発作を起こすことを懸念した私は早々に職場の上司に相談し、休職させてもらうことにした。この時は本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

 

8wくらいから日を追うごとに気持ち悪い状態がデフォルトになっていった。

空腹時に吐き気が増すという、いわゆる「食べつわり」だった。対処方法としては空腹を感じる前に少量ずつ食べられるものを口にするというのが一般的。でも私の場合「食べる=吐く」という図式が脳内に出来上がっており、吐くことへの恐怖から食欲がどんどん減退。この時点で実際に嘔吐した回数は0回であるにも関わらず、まともに食べることができなくなってしまっていた。

夫が「何か食べられそうなものはある?」と聞いてくれても、もはや食べ物のことを考えることすら苦痛で仕方なかった。この時期に辛うじて食べていたのはプレーンヨーグルトと缶詰のみかん、菓子パン。チーズ蒸しパンが多かったかな。食べられそうな時はミニサイズのカップ麺とフルグラ。1食分くらいの量を1日かけて食べるという感じだった。水分は1日に500ml摂れれば上出来だった。

 

吐き気はあれど、ひたすらオエオエえずいて涙と唾液が大量に出るだけで胃の内容物が出てしまうことはほぼ無かった。吐くことが怖くて無意識に体がストップをかけていたのかもしれない。代わりに胃の中に溜まった空気を吐いている感じだった。ひたすらゲップが出るみたいな。内臓は嘔吐している時と同じような動きをするので、辛いことに変わりはなかったけど。

吐き気と同じく辛かったのは、「涎つわり」だった。毎日24時間、大量の唾液が出るのでティッシュを1日1箱は消費していた。寝落ちする直前まで唾液が出るので、枕元にバスタオルを用意して唾液を吸わせながら寝ていた。摂取した水分よりも、吐き出した唾液の量の方が多いくらいだった。自分の唾液の臭いで吐き気を催すこともしょっちゅうあった。

 

体を起こすと吐き気が増すので、トイレと入浴以外はほとんどベッドに横になって過ごしていた。入浴できない日もザラにあった。ホルモンバランスのせいか、まともに洗浄できていないせいなのか、肌が荒れ放題で顔も体もガサガサ。顔には細かい吹き出物のようなプツプツがたくさんできていた。

歯磨きもキツくて、かなり適当になっていた。歯茎が腫れて、ブラッシングすると歯ブラシが真っ赤になるくらい出血するようになってしまった。

 

終わりの見えない苦しみと、仕事や家事はおろか自分の面倒を見ることすら満足にできなくなってしまったことが情けなくて夫に弱音を吐いて泣いたこともあった。

夫には看病というかほとんど介護してもらっていたようなものだったのだけど、文句ひとつ言わずに何でもしてくれていたので、毎日のように感謝と謝罪を伝えていた。夫が「謝らなくていいよ、こっちこそ代わってあげられなくてごめん」と言っていたのをよく覚えている。この人と結婚して良かったと心底思った。

 

後編はこちら。

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