イネムリブカ

底の方に沈んでる。

つわりの記録②

前編はこちら。

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13wに入り、病院の検診での尿検査でケトン体がプラスに。重症妊娠悪阻と診断される。

実はこれまでにも何度か点滴をしてもらっていたのだけど、改善が見られないということで毎日点滴に通うか、入院するかの選択を迫られる。吐き気と体力の低下で通院するのも夫に連れられてやっとの状態だったので、入院することにした。私が家に居ないほうが、夫も気が休まると思った。

この時点で、体重は妊娠前の-7kg、BMIは15になっていた。

 

入院中は1日中点滴を着けた状態での生活だった。

食事は常食の半量で、炊きたての白米の臭いが受け付けなかったため冷ご飯に変えてもらっていた。メインは魚が多かったかな。

点滴の効果が出ていたのか、見るのも嫌だった食事を病院ではそれなりに食べることができた。徐々に食べられる量が増えていき、入院4日目頃にはほぼ完食できるくらいにまでなった。

病院の食事はこんな感じ。

尿検査の結果、ケトン体がマイナスになったので6日目に退院することができた。

 

14w。退院できたと言っても、つわりが終わったかと問われたらそんなはずもなく。

入院中、食事がそれなりに摂れていたので食事の内容を病院食を参考にしたものに変えることにした。魚料理をメインに、お浸しや酢の物を少しという感じ。とは言え自分で調理ができる状態ではなかったので、チルド商品や宅配弁当サービスのnoshを利用していた。

 

16w、妊娠中期…いわゆる安定期に入る。

つわりの症状は気持ちマシになってきたかな?程度。1日中寝たきりだったのが、少しだけ動けるようになった。でも、動くたびにオエオエえずくのは変わらず。

涎つわりの症状がとにかく不快。常に口内に唾液が溜まっており、喋ることが困難。普段は家に引きこもっているので何とかなるのだけれど、病院で医師や看護師と話す時などは言葉を発するたびに溢れる唾液をビニール袋に吐き出さざるを得ず、みっともないし汚いし精神的にも参っていた。

ネットで涎つわりの体験談などを調べてみると、唾液は吐き出さず飲み込むようにした方が治りが早いと書かれていた。唾液を飲み込むと吐き気を誘発してしまうのでかなり辛かったけれど、この頃から意識的に唾液を飲み込むようになった。

 

17w頃から、だいぶ食欲が回復してきた。

今まで食べていた魚メインの料理に飽きてきて、ジャンクフードやスイーツを食べたいという気持ちが強くなり、夫に買ってきてもらったモスバーガーをひとつ食べ切れたのが嬉しかったのを覚えている。数ヶ月ぶりに食事をおいしいと感じた瞬間だった。

 

病院の待合室で、目の前がチカチカして失神しかけたことがあった。車椅子で処置室に運ばれ、点滴をしてもらった。この時に嘔吐したのが3回目で、最後だった。この症状の原因が貧血なのか低血圧なのか、はたまたパニック発作によるものなのかは不明。

今思えばこの出来事がきっかけで、外出先でパニック発作を起こしやすくなった気がする…。

 

18wの終わり頃から、リハビリを兼ねて少しずつ外出するようになった。

唾液を飲み込むようにしていたのが効いたのか涎つわりが改善してきたおかげで、いつも肌身放さず持ち歩いていたビニール袋とティッシュ箱が無くても平気になりつつあった。

戌の日の帯祝いがあり、その帰りに和菓子屋に併設されているカフェで苺大福を食べた。妊娠以来、初めての外食だった。

 

20wの妊婦健診では、体重も少しずつ戻り始めており顔色もだいぶ良くなったと言われた。

退院後も週1回の頻度で点滴に通っていたのだけど、今回の検診からは点滴を止めて様子を見ることになった。

 

21w、歯磨きの時にオエっとしてしまうのと、特定の臭いが受け付けないこと以外、つわりらしい症状はほぼ無くなった。

春の訪れと共に始まったつわりとの闘いは、こうして幕を下ろした。気付けばとうの昔に桜は散り、季節は夏に移り変わろうとしていた。つわり期間中は通院以外ずっと家で寝たきり、外部との接触はほぼ無く、時が止まったような感覚だったので、私にとっては失われた3ヶ月となった。

 

 

つわりを経験してみて一番思っていたことは、「早くつわりの治療薬を開発してくれ!」だった。海外にはつわりの薬が存在するという話を聞いたこともあるけど本当だろうか。とにかく、ビタミンB6のサプリメントなんて気休めにすらならんのよ。

つわりを治すことができるようになれば、出生率アップにも繋がるよ。多分。少なくとも私は現時点で2人目を作ろうと思えるようになる未来が見えない。きょうだいは欲しいけど、今はその気持ちよりもつわりのトラウマが勝っている。

身体症状も辛いけど、メンタルも相当やられた。つわりって人体の欠陥プログラムじゃないの?進化の過程で無くなって然るべきじゃないの?とやり場のない怒りを感じる日もあれば、もういっそ殺して…とさめざめ思った日もあった。症状の個人差が激しいというのもまた理不尽要素。私はまだマシな方で、産むまでつわりが続いたという人だっている。

正直言って、つわり中はお腹の子をエコーで見ても何の感情も湧かないような精神状態だった。生きてるならそれでいいって感じ。

 

つわりは病気ではないと言うけれど、少なくとも私は今までに疾患したどんな病気よりもつわりが一番しんどかったよ!!と声を大にして言いたい。まあ、今までに大病を患ったことがないのだと思えばある意味幸せなことなのかもしれないけどね。